税務相談 Q & A

☆☆☆ CONTENTS ☆☆☆

 相続人の範囲
 
遺産に対する相続分
 
相続の放棄
 
遺言書の作り方
 
遺言書が発見された場合
 
包括遺贈と特定遺贈
 
遺留分とは
 
被相続人の死亡前3年以内に贈与された財産
 
   
 

 相続人の範囲

(Q)

 相続とは、亡くなった被相続人の財産を相続人が引き継ぐこととされていますが、どこまでの範囲の親族に相続権があるのでしょうか。
 

(A)

 民法において、相続人になり得る範囲を次のように法定している。
相続人範囲
 配偶者は常に相続権が認められるが、血族については、どこまで相続権を認めるかについては、次のように法定されている。
 血族について相続権が認められるのは次の順位で、先順位の者がいる限り後順位の血族には相続権がない。

第1順位  直系卑属
第2順位  直系尊属
第3順位  兄弟姉妹

 従って、第1順位の子があるときは、その子と配偶者が相続人となり、子がないときは第2順位の父母と配偶者が相続人となり、第1順位の血族も第2順位の血族もいないときに、兄弟姉妹と配偶者が相続人となる。
 相続権がある配偶者は、婚姻届が出されている配偶者に限る。血族の相続人がいなければ、配偶者1人が相続人となる。
 養子縁組の届け出をした養子は、実子と同じ身分が与えられる。
 正式な婚姻関係にない男女間の子(非嫡出子)は、「認知」により第1順位の相続人となる。
 被相続人の子が相続開始以前に死亡しているときは、死亡した子の子、すなわち被相続人の孫が「代襲相続人」となり、相続権が認められる。孫がいれば、第2順位の直系尊属に相続権はない。

 

 遺産に対する相続分

(Q)

 相続権を持つ者が2人以上の場合には、どのように相続財産を分配するかが問題となりますが、遺産に対する権利の割合(相続分)はどのように決められていますか。
 

(A)

 相続については、被相続人の意志を尊重し遺言による相続分が優先する。遺言のない相続については、民法上次のように法定相続分が定められている。
相続順位

 代襲相続人の相続分は、本来相続人であった者の相続分を引き継ぎ、複数の代襲相続人があれば、これを均分する。
遺言による指定相続分は、民法による法定相続分に優先するが、「遺留分」を犯すことはできない。
 遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人につき次のように定めている。
 直系尊属のみが相続人であるときは、遺産の3分の1とする。そのほかの場合には、遺産の2分の1とする。
 従って、兄弟姉妹の相続人には遺留分はなく、相続人が強大姉妹だけであれば全遺産を遺言によって遺贈でき、相続人が配偶者と兄弟姉妹であれば、全遺産を配偶者に遺贈できる。
 相続分の指定が一部の相続人だけにあった場合、ほかの相続人は残りの遺産について法定相続分を有する。
 遺留分が遺言によって侵害されているときは、遺贈を受けた相手方に対し、内容証明郵便により「遺留分の減殺請求」をし、相手方がこれに応じないときは、家庭裁判所に調停の申し立てを行う。
 減殺請求権は、相続のあったことを知ったときから1年以内にこれを行わなければ、時効によって消滅する。
 遺言のない場合の遺産の分配は、法定相続分に従う必要はない。相続人の間で遺産分割に関する協議が成立したときは、「遺産分割協議書」を作成する。相続人の間で協議が成立しないときは、家庭裁判所の調停審判により法定相続分により相続する。直系卑属がすでに死亡しているときは、その子すなわち被相続人の孫が「代襲相続人」となり、相続権が認められる。孫がいれば、第2順位の直系尊属に相続権はない。

 

 相続の放棄

(Q)

 被相続人に多額の借金がある場合相続人はこの借金を引き継がなければなりませんか。
 

(A)

 民法では、相続財産の引継ぎは相続人の選択に委ねており、借金を含む相続財産の受け入れを「相続の承認」、借金を含む相続財産の受け入れを拒否することを「相続の放棄」という。
 相続の放棄は、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に「相続放棄申述書」を被相続人の住所地の家庭裁判所に提出することによって行う。

 

 遺言書の作り方

(Q)

 財産を遺贈するための遺言書には公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言があるそうですが、それらはどのように違うのですか。
 

(A)

遺言は、遺言者の私語にその効力が生ずるが、その遺言の内容に疑義が生じても、遺言者の意志を確認することはできない。
 そこで民法は特に遺言の章を設け「遺言は、この法律を定める方式に従わなければ、これをすることができない。」(民法960)と規定している。
 遺言には、普通方式(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)と特別方式(危急時遺言・隔絶地遺言)に分かれるが、普通方式のあらましを対比して示せば次の通りである。
遺言書作成の方法 

 自筆証書遺言及び秘密証書遺言中の加除を野田の変更は、遺言書にその場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、かつその変更の場所に印を押さなければその効力がない(民法968A)。
 公正証書による遺言以外の遺言の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がなく相続人が遺言書を発見した場合も同様である。封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人全員(又はその代理人)の立会いがなければ、これを開封することができない(民法1004)。

 

 遺言書が発見された場合

(Q)

 本人の死亡後遺言書が発見された時は、どのような手続きをとればよいのでしょうか。
 

(A)

 その遺言書を開封せずに、遺言者の住所を管轄する家庭裁判所に持参し、検認の申し立てを行う。遺言書が公正証書であれば、この手続きは不要である。
 家庭裁判所では、相続人全員立会いの下で開封し、遺言書の偽造・変造を防ぐため、検認の手続きをとる。
 この遺言の執行は、遺言執行人がこれに当たるが、遺言にその指定がないときは、家庭裁判所にその選任の申し立てを行う。

 

 包括遺贈と特定遺贈

(Q)

 遺言によって相続財産の取得者を指定するとき、その財産を特定する必要がありますか。それとも、遺贈の割合を示すだけでもよいのでしょうか。
 

(A)

 「遺贈」というのは、遺言による財産の贈与のことであり、民法で定められた一定の様式を備えた遺言書が作成されていた場合のみ法的な効力が与えられる。
 遺言をした人を「遺贈者」、遺言によって遺産を贈られた人を「受遺者」といい、遺贈は遺贈者から受遺者に財産を贈与することであるが、死亡を原因としてなされる贈与であるから、受遺者には贈与税ではなく相続税が課税される。
 遺贈によって遺留分が侵害されているときは、受遺者が遺産を相続するに当たって法定相続人から「遺留分の減殺請求」が行われる場合がある。
 遺贈は、贈与財産の指定方法により「包括遺贈」と「特定遺贈」とに分かれる。
 包括遺贈とは、遺産の全部又は一部を包括的に与えるもので、「遺産の40%を与える」というように、遺産に対する一定割合を示す方法である。
 包括遺贈により財産を取得する者を「包括受遺者」と呼び、指定された割合に応じて遺産を取得する権利があり、相続分という包括的な権利をもつ法定相続人と同等の立場に立つことになるが、財産のみならず、債務についても指示された割合は負担する義務を負う。
 遺産よりも債務が多い場合には、相続の放棄と同様に遺贈の放棄も認められる。
 特定遺贈とは、遺贈財産を具体的に特定する遺贈であって、「○○株式会社 株式○○株」「○○区○○町○丁目○番地○号の土地○○u」のように、遺贈の財産を明確にする方式である。
 特定遺贈により財産を取得する者を「特定受遺者」といい、遺言で具体的に指定された遺産を取得する権利があるが、特定受遺者については、遺言において特に指示がない限り債務を負担する義務はない。
 さらに相続税法においては、贈与者の死亡によって効力が生ずる死因贈与も遺贈と同様に取り扱うこととしているから、死因贈与により財産を取得した場合にも、相続税の納税義務が生ずる。

 

 遺留分とは

(Q)

 事業を長男に承継させるために、遺言により遺産の大部分を長男に遺贈することとしたいのですが、3人の子供のうち他家に嫁いだ長女・次女にも遺留分という権利があると聞きました。
 この遺留分というのは、どのような権利ですか。
 

(A)

 遺留分とは、相続前1年以内の生前贈与又は遺言によっても犯すことのできない法定相続人が遺産の上に有する民法上の権利である。ただし、兄弟姉妹の相続人についての遺留分は認められない。
 具体的な遺留分の割合は、次のようになっている。
遺留分

 子供又は父母が複数のときは、その遺留分は人数により均分される。
 相続人が配偶者と子供3人で、長男に遺産の全部を遺贈した場合、長男以外の子供の遺留分は12分の1となる。
 遺留分計算の基礎となる財産は、被相続人が相続開始のときに有していた財産に、相続前1年以内に行った贈与財産を加え、債務の全額を控除して算定する。
 遺留分を有する者は、遺贈又は贈与を受けた相手方に対し、財産の取り戻しを請求できる。これを「遺留分の減殺請求」という。
 この減殺の請求権は、遺留分権利者が相続の開始を知ったときから1年間これを行わないときは、時効によって消滅する。

 

 被相続人の死亡前3年以内に贈与された財産

(Q)

 被相続人の死亡前3年以内に贈与された財産は、相続税の対象となる遺産額に加えなければならないとのことですが、贈与税の基礎控除以内の贈与であったり、子や孫が贈与を受けたマイホームの取得資金であったり、あるいは配偶者控除を受けた居住用財産等も、遺産に加算して相続税を計算するのですか。
 

(A)

 被相続人から死亡前3年以内に贈与された財産は、相続税の対象財産に取り込まれる。
 ただし、計算された相続税額から納付済みの贈与税を控除することもできる。
 贈与を受けた年には、贈与税の基礎控除60万円以下で、贈与税の課税を受けなかった贈与財産も、子や孫が贈与を受けたマイホーム取得資金が300万円以下で、贈与税の特例により課税を受けなかったものも、被相続人の死亡前3年以内の贈与である限りその全額を遺産額に加算しなければならない。
 ただし、贈与税の配偶者控除の適用を受けた居住用財産については、その配偶者控除(2,000万円を限度とする。)を差し引いた後の財産価額のみを加算すればよい。

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