「愉しい非電化A 籾摺り倶楽部」
非電化工房の藤村靖之氏の講演会の続きです。
藤村氏は「籾摺り倶楽部」という会を作っている。
「籾摺り倶楽部」に入会すると、
○入会・年会費なし。
○「非電化籾摺り機」と「非電化貯蔵庫」を原価(各1万円くらい)で購入できる。
※籾の貯蔵には湿度管理が必要で、米の酸化を防ぐためにも貯蔵庫は必要のようです。
○天日干しした籾付きの米を農家から直接安価で購入できる。
(白米換算で1Kgあたり240円くらい。日本人は平均1Kgあたり410円で買っている。)
※但し、1俵(70Kg)単位の注文で7月までに予約が必要。
藤村氏は条件に合った農家を紹介するだけで、仲介マージンは発生しない。
農家と消費者をつなぐ橋渡しの役割を果たしている。
なぜ、籾付きの米を買って、家で籾摺りすることを薦めるのか?
しかも昔ながらのやりかたである。
藤村氏自身も昔ながらの摺りたて、挽きたて、炊き立ての米を食べている。
米を作るまでのエネルギーを昔と現在で比べてみると、
昔(非電化) 今 (電化)
田植え(人力) 田植え(石油)
↓ ↓
稲刈り(人力) 稲刈り(石油)
↓ ↓
乾燥(太陽熱) 脱穀(電力)
↓ ↓
脱穀(人力) 乾燥(石油or電力)
↓ ↓
貯蔵(自然) 貯蔵(電力)
↓ ↓
流通(石油) 籾摺り・精米(電力)
↓ ↓
籾摺り・精米(人力) 低温貯蔵(電力)
↓ ↓
炊飯(ガス・薪) 流通(石油)
↓
電気炊飯(電力)
この中でまず注目すべきところは、最後の「炊飯」。
昔ながらの「圧力釜」を使いガスで炊いたほうが圧倒的においしい。
しかし、今や「電気炊飯ジャー」が幅を占め、ほとんどの家庭で使われている。
この「電気炊飯ジャー」が消費する電力は日本全部で原発2.5基分。
また、今の「低温貯蔵」に消費される電力は原発1.2基分。
皆が「今」の米作り〜消費のスタイルだと、それ以外のものも含めて、全部で原発4基分の電力を消費するそうだ。
藤村氏は、原発の問題点として、以下の点を挙げている。
○原発1基で3500億円掛かる。
○維持費が高い。
○事故を起こしたらもっとお金が掛かる。
○何千年も管理をしなきゃいけないものを子孫に残すのは馬鹿げている。
しかし、日本は「原発推進」国家である。
こうなった理由について藤村氏は経済の仕組を挙げられた。
みんなで寄ってたかってエネルギーをたくさん使い、寄ってたかって経済を大きくしてきた。
いうなれば、「経済成長至上主義」というやつだ。
しかし、その結果、まずくて高くて健康に悪い米を買うことにつながっている。
ここで、再度、「電化」によって作られたご飯と、「非電化」によって作られたご飯を比べてみる。
「電化ご飯」
○原発4基分の電力を使う。
○原発1基分の石油・ガスを使う。
○不味くて不健康で高いお米。
⇔
「非電化ご飯」
○原発0基分の電力を使う。
○原発0.5基分の石油・ガスを使う。
○美味しくて健康的で安価なお米。
「非電化ご飯」の方が断然よさそうに見えるのだが、これにも欠点がある。
それは「経済が大きくならない」ことだ。
よって今の「経済成長至上主義」の社会には受け入れられていない。
「電気は必要で、電気は火力で作られる。火力は石油から作られて、 石油はいずれ枯渇してしまうし、火力はCO2をたくさん出す。
だから、この先は太陽光か原発しかないですね。」という論がよく出てくるが、これこそが「マインドセット(型にはまったものの見方)」だと藤村氏は言う。
原発1基で3500億円もの経済効果が生まれる。
「経済が大きくなること」のみを選択肢としているからこういう結論が出てしまう。
藤村氏はこの「籾摺り倶楽部」についての意見をいろいろな人に聞いてみた そうだ。
お母さん100人に聞いたところ、100人ともが賛成した。
お父さんはほとんどがブーイング。
(経済を大きく出来ないことへの不安感だと思われる。)
お百姓さんは半分が賛成、半分が反対。
今の日本のスタイルは「工業製品」を輸出して、「食料」と「エネルギー」は輸入している。
そして、政府はそのスタイルを続けるために、大型農家だけを残して零細農家には補助金を取りやめる方針を打ち出した。
現在、農家は農協からの指示により、1Kg160円で売らされている。
もちろん、生活が苦しくなるぐらいの厳しい値段だ。
だからこそ、240円で売れる「籾摺り倶楽部」の姿勢に賛同する農家が半分もいるわけだ。
その一方で、残りの半分は、それでも、農協から睨まれたくないということで嫌がっているそうだ。
零細農家の場合、米だったら兼業でも十分にできるらしい。
月曜から金曜は会社に勤めて生活費を稼ぎ、土日に農業するところも増えているそうだ。
しかし、「天日干し」だけは人手が掛かるので出来ない。
よって、最終的に「籾摺り倶楽部」に加われないと言う意見が賛同してくれた農家の中にも多かったそうだ。
そこで、藤村氏の出したアイデアは、「天日干しは購入者が手伝いに行く」。
決して義務ではないが、購入者はおいしいお米を安く手に入れるわけだから、必要な時には手伝いに行く。
もちろん、遠くの人だったら手伝いには来れない。
藤村氏の理想としているのは、佐賀県の人はわざわざ新潟の米を買わないで、佐賀の米を買えば良いというように、その地域で取れた米を買うということだ。
地産地消と言った方がわかりやすいかも知れない。
今は生産者と消費者の距離がどんどん離れていっている。
顔の見えない関係だ。
数年前に起きた食品偽装も、生産者と消費者の距離が離れすぎたことに原因があると藤村氏は見ている。
また、日本はフードマイレージ世界一である。
国民一人当たり1年間で7000t・Km消費している。
1日換算だと20t・Km。
つまり、1日に食べる2Kgの食料を10000Km運んでいることになる。
実に地球4分の1周分だ。
では、その2Kgの食料を食べるのに石油をどれだけ使うか?
→2Kgである。
実に馬鹿げた話だ。
なるべく近くの農家で作ったもの買って、天日干しなどの農家の繁忙期には手伝いに行けば、いかに環境に負荷を掛けないかがわかる。
今の日本(世界)は、
「寄ってたかって 経済を大きくして
寄ってたかって 経済を使って
その結果 困り果てちゃった」
というのが実情だ。
地域で農家と人をつないで、みんなで「わいわいがやがや」やっていこう
というのが「籾摺り倶楽部」の目指すところだ。
次回に続く